平成14年に能代市山本郡医師会の会員9名(開業会員の1割強)が病気で入院しました。幸いにも全員無事に退院することができましたが、今まではこのようなことはありませんでした。これは一大事ということで、昨年12月に行われた医師会忘年会の前に出席者全員がお祓いをして貰いました。
私ごとになりますが本年2月より介護保険の第1号被保険者になり、少し遅かったかもしれませんが自分も何時病気になって入院してもおかしくない年齢になっていることにやっと気が付きました。
開業医が開業を辞めるには病気になって仕事を続けられなくなった時と高齢になって仕事を続けることが無理になった時が考えられます。しかし後者についての判断はなかなか難しいものがあります。
今年の2月に約10年位前に胃潰瘍で治療した患者が胃の具合が悪いと言って来院しました。私の顔をみるなり「先生だいぶ老けたなカメラの腕大丈夫だか」と言われました。一瞬ドキッときたが大丈夫だよと言って内視鏡検査を無事に終了しました。
昔、「胃の会」の後に行われた懇親会で某先生が「開業医の辞める時期は患者が決めてくれるから心配いらないよ」と言ったのを思い出しました。それは「患者がだんだん減って余り頼りにされていないなと気が付いた時が辞め時だ」と言う意味だと解釈しています。しかし少しボケの傾向があり本人がそれに気がつかない時には問題があると今からいらない心配をしています。
開業して間もない昭和50年代の後半は右肩上がりの高度経済成長の時期であり、日本医師会の年金と能代市山本郡医師会の福祉年金に入っていれば老後の生活は心配ないと言うことであったが、バブルがはじけてデフレが進んでいる現在では日医の年金の受取り額は予定額の約半分(掛け金に少し利息が付いた程度)となり、福祉年金の方も掛け金に少し利息が付いた額を受け取ることになりそうです。これでは70歳になったら開業医を辞めて悠悠自適の生活を送りたいと考えていた事は、夢のままで終わりそうです。
開業医の大部分は国民年金であり月額約6万円弱の年金ではとても生活は出来ないので、自己責任で保険医年金、国民年金基金(上限はあるが全額保険控除となる)等を利用して若い頃より、老後の生活を考えておくことが大事であると考えています。 (S・G)
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